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熊の巣穴


お宝  私のお気に入りのクマ達
      ニホンオオカミの下顎と間違えやすい熊の下顎の根付

山の帰り、途中下車した甲府の骨董屋の店頭にあったのをみつけたが、持ち合わせがないため、後日、出直して購入。
いろいろニホンオオカミに関する文献をあたったがクマの下顎かもしれません。
1970年頃、購入。

2011年9月に 秩父宮記念三峰博物館 客員研究員 八木 博様より
甲府の骨董屋で購入したとされる表題の根付はオオカミで無く熊です。
と、メ−ルをいただきました。 

  


       
  
            
     
  
        

  
            
             
                                                                                                                                      動物考古学者芝田英行様より上記の根付について
コメントをいただきました。 ありがとうございました。                                                                                            

2008年10月26日 (日)

ニホンオオカミの根付とされるものについて

ご要望があるかどうかわかりせんが、ニホンオオカミの根付とされるものについて一言。

根付というのは、現代でいえば、ストラップについているキャラクターやアクセサリーのようなもので、江戸時代などでは、印籠や煙草入れなどを結ぶ紐に、それがほどけないようにストッパーとして着けた自然物や細かい細工物のことです。

そして、幕末から明治にかけては、山の力ある動物にあこがれたためか、クマやニホンオオカミの下顎の先端を切断し、磨いたり孔をあけたりして根付にしたものが多くつくられたようです。

そうしたものが、やがて古物商に流れると、その過程のとこかで、「クマよりもオオカミのほうが高くつくのでは」とでも考えられたのではないでしょうか。クマの下顎骨の根付もニホンオオカミのものとして売られることになり、扱う古物商もクマとオオカミの区別がつかないまま(ついていても黙っていることもあるでしょうが)、クマもオオカミも「オオカミの根付」として売られ、間違ったまま伝わってしまうことがあるのだと思います。

そこで、クマのもとオオカミを含むイヌ科のものとの簡単な区別の仕方を、ちょっとここで紹介しておきたいと思います。

Photo

写真は、クマの下顎骨を加工した根付です。下顎を上からみた内面部で、左側が頭の先になり、顎の先だけを切断したものとなります。全体に研磨され、犬歯(牙)も大きく削られていて、左右の犬歯間には、紐を通すための孔があけられています。

歯は犬歯しかなく、あとは歯がはまっていた穴(歯槽)だけとなっていますが、ここで注意すべきなのは、犬歯のすぐ後にある第一前臼歯の歯槽の位置です。写真の資料では、犬歯の後に、第一と第二前臼歯ふたつの歯槽がのこっていますが、第一前臼歯の歯槽は犬歯とほとんど接する位置にあるのがわかります。実は、これがイヌ科の下顎骨とクマの下顎骨をみわけるポイントになるのです。

イヌ科の第一前臼歯と犬歯の間には、はっきりとした隙間があきます。これに対して、ツキノワグマでもヒグマでも、第一前臼歯と犬歯は密着してはえているのです。

よって、写真の根付も、クマのものだと判断できるわけです。

でも、オオカミのものだからよくて、クマのものだとがっかり、などということはありません。

どちらも古来より山の神ですし、こうした根付も、どちらにしても貴重な歴史資料・民俗資料であるわけです。出所が明確であればいうことはないのですが、動物と人間の関わりを調べているものにとっては、大事な標本であります。

もし、こうしたものを所有しておられるかたがいて、それがオオカミのものかクマのものか迷っていたとしたら、以上の点を参考にしていただければと思います。